投資の大原則を要約|誰でも再現できる長期投資5つの法則【書評】
「投資を始めたいけど、何が正しい方法なのかわからない。」
そう感じていませんか?書店に行けば「10倍株」「FXで億稼ぐ」といった刺激的なタイトルが並んでいます。
SNSでは「この銘柄が来る」「今すぐ買え」という情報が飛び交っています。
私自身も投資を始めた頃、どれが本当の情報なのか全く判断できずに迷い続けました。
サラリーマンとして限られた時間の中で、毎日のように情報を追いかけ、疲弊した時期があります。
「難しそうに見える投資の本質は、実は驚くほどシンプルだった。」
今回ご紹介する「投資の大原則」(著:バートン・マルキール&チャールズ・エリス)は、その答えを明快に示してくれる一冊です。
読んでから5年以上が経ちますが、本書の教えは今も私の投資の軸になっています。
なぜ多くの人が「正しい投資法」を知らないまま損をするのか

投資の情報は世の中にあふれています。にもかかわらず、多くの人が「間違った方法」で資産を減らしてしまいます。なぜでしょうか。
「情報が多すぎることで、かえって本質が見えなくなっている。」
原因①:短期で儲けようとする
「今すぐ儲かる」という情報に惹かれて、短期売買を繰り返す人が後を絶ちません。
しかし、プロのファンドマネージャーでさえ、長期的には市場平均に勝てないという事実があります。
個人投資家が短期売買でコンスタントに勝ち続けることは、ほぼ不可能です。
株価は市場参加者の情報をすでに反映しています。誰もが知っている情報で利益を出すことはできません。
売買を繰り返すたびにコストだけが積み重なっていくのです。
原因②:分散せずに集中投資してしまう
「この会社は絶対伸びる」という確信から、一社・一銘柄に集中投資してしまうケースがあります。
しかし本書では、自社株に全財産を投じた結果、会社の倒産と同時に職も財産も失った事例が紹介されています。
働いている会社の株を保有することは、職と資産の両方を同時に失うリスクがあります。分散は「保険」ではなく、長期投資の「前提条件」です。
原因③:感情で売買の判断をしてしまう
景気が良いときはリスクを取りすぎ、暴落が来ると恐怖で売ってしまう。これが投資で失敗するパターンの典型です。
人間は本来、相場が上がっているときに強気になり、下がっているときに弱気になるようにできています。
「投資で失敗する人の共通点は、知識不足ではなく感情のコントロール不足にある。」
「投資の大原則」が示す5つのシンプルな法則

本書の著者は、投資の世界で最も権威ある2人です。
- バートン・マルキール:「ウォール街のランダム・ウォーカー」著者。インデックス投資の先駆者
- チャールズ・エリス:「敗者のゲーム」著者。機関投資家向け投資コンサルタントの第一人者
この2人が「9割以上の人に再現できる投資法」としてまとめたのが、以下の5つの法則です。
法則①:若いうちから貯蓄を始め、定期的に続ける
投資において最大の武器は「時間」です。
複利の力は時間が長ければ長いほど大きくなります。
20代から始めた人と40代から始めた人では、同じ利回りでも最終的な資産額に大きな差がつきます。
本書では「今始める」ことの重要性を繰り返し説いています。
完璧なタイミングを待つより、少額でも今日から始めることの方が圧倒的に重要です。
「投資で最も後悔することは、始めるのが遅かったことだ。」
法則②:税制優遇制度をフル活用する
節税は最も確実な「利回り」です。本書は米国の制度を前提としていますが、日本でも新NISA・iDeCoという強力な非課税制度があります。
| 制度 | 特徴 | 年間上限 |
|---|---|---|
| 新NISA(積立投資枠) | 売却益・配当が非課税 | 120万円 |
| 新NISA(成長投資枠) | 個別株・ETFも対象 | 240万円 |
| iDeCo | 掛金が全額所得控除 | 月々1.2〜6.8万円 |
私は新NISA積立投資枠をeMAXIS Slim全世界株式とS&P500で満額使い、iDeCoでも毎月積立を続けています。
この非課税枠を使わずに投資することは「お金を捨てているのと同じ」という言葉が、今も行動の指針になっています。
法則③:低コストのインデックスファンドで分散投資する
本書の核心はここにあります。プロのファンドマネージャーでさえ長期的には市場平均に勝てないなら、個人投資家は市場全体に乗っかる「インデックスファンド」に投資すればいい、というシンプルな結論です。
インデックスファンドのメリットは3つです。
- 銘柄分析が不要:個別企業を調べる時間がかからない
- コストが圧倒的に安い:信託報酬0.1%以下の商品も多い
- 自動で分散できる:1本で何百〜何千銘柄に分散投資
本書が推奨するETFはVTI(米国全体)・VT(全世界)・BND(米国債券)など。現在も定番銘柄として多くの投資家に支持されています。
法則④:年1回、資産配分を見直す(リバランス)
株式が値上がりすると、ポートフォリオの株式比率が当初の設定より高くなります。
年1回リバランスすることで、値上がりした資産を売って割安な資産を買い直すことができます。
年齢別の推奨資産配分は以下の通りです。
| 年齢 | 株式比率 | 債券比率 |
|---|---|---|
| 20〜30代 | 75〜100% | 0〜25% |
| 40〜50代 | 65〜85% | 15〜35% |
| 60代 | 45〜70% | 30〜55% |
| 70代以降 | 35〜50% | 50〜65% |
若いうちは株式中心で運用し、年を取るにつれて債券比率を上げてリスクを下げていくのが基本戦略です。
私は現在30代後半ですが、株式・投資信託70%・現金30%程度で運用しています。
法則⑤:自分のルールを守り、長期投資を続ける
最後にして最も難しい法則です。
本書は長期投資を成功させる9つのルールを示しています。
- お金は若いうちから定期的に貯める
- 会社と国の制度(NISA・iDeCo)を最大限活用する
- 不時の出費に備えて生活防衛資金を確保する
- 低コストのインデックスファンドを使う
- 分散投資を徹底する
- クレジットカードのリボ払いは使わない
- 短期売買への衝動を無視する
- 暴落時こそ積立を継続する
- 一度決めた投資方針を守り続ける
「投資の成功を決めるのは、IQでも運でもなく、自分のルールを守る継続力だ。」
読んでから5年、実際にどう実践したか

本を読んで理解することと、実際に実践し続けることは全く別物です。
この本を読んでから5年以上が経った今、正直にお伝えします。
実践①「早く始める」→ コロナショックが転機になった
この本を読んだのは2020年末。コロナショック後の相場が回復してきた時期でした。
「早く始めることの重要性」が一番刺さりました。
「もっと早く知りたかった」という後悔はありましたが、「今が一番早い」という気持ちで積立を本格化しました。
毎月の積立額を増やし、ボーナスのたびにスポット買いするルールを決めました。
実践②「インデックス×高配当のハイブリッド戦略」に発展
本書はインデックス一本を推奨していますが、私はFIREを目指す観点から高配当株との組み合わせに発展させています。
| 役割 | 投資手法 | 比率 |
|---|---|---|
| 資産の成長(コア) | インデックスファンド(オルカン・S&P500) | 約60% |
| 配当収入(サテライト) | 高配当株・米国ETF(VYM等) | 約40% |
インデックスで資産を増やしながら、高配当株でFIRE後の生活費となる配当収入も作るというハイブリッド戦略です。
2025年の年間配当金は約33万円。本書の教えを5年間実践した結果です。
実践③「暴落でも売らない」→ 2025年の暴落で本領発揮
2025年4月のトランプ関税ショックは、本書の教えが試された瞬間でした。
SNSには「全部売った」「もう投資はやめた」という声があふれました。
私は保有を継続し、スポット買いを追加しました。
その後相場は回復し、年間で総資産が約560万円増加しました。
「暴落のとき、この本を思い出すだけで売らずにいられた。」
今日からできる具体的なアクション

【アクション1】新NISAの積立設定をする
まだ新NISAを使っていない方は、今すぐ証券口座を開設してeMAXIS Slim全世界株式(オルカン)またはS&P500の積立設定をしましょう。
月1万円からでも始められます。
非課税枠を使わない期間は、取り戻せない損失です。
【アクション2】生活防衛資金3〜6ヶ月分を確保してから投資する
本書が繰り返し強調するのが「不時の出費への備え」です。
生活費3〜6ヶ月分の現金を手元に残した上で投資をしましょう。
この安心感があれば、暴落時にも冷静でいられます。
【アクション3】年末に1回だけポートフォリオを確認する
毎日チェックすることは百害あって一利なし。
年1回だけ、自分の株式・債券比率が目標と大きくズレていないかを確認しましょう。
ズレていれば、積立の比率を調整するだけで十分です。


まとめ
「投資の大原則」が示す答えはシンプルです。
- 早く始める:時間こそが最大の武器
- 税制優遇をフル活用する:新NISA・iDeCoを使い倒す
- 低コストのインデックスファンドで分散する:VTI・オルカンが定番
- 年1回リバランスする:感情でなく仕組みで管理する
- 長期で続ける:暴落時こそルールを守る
私自身、この本を読んでから5年以上が経ちますが、本書の大原則は一度もブレていません。
新NISAという最強の非課税制度が誕生した今、むしろ本書の教えを実践しやすい環境が整いました。
「難しい投資本を10冊読むより、この1冊を読んで実践する方が、圧倒的に資産は増える。」
まだ読んでいない方は、ぜひ手に取ってみてください。
200ページ程度で読みやすく、投資の本質をシンプルに理解できます。




